ふと気がつくとあなたは、古びた地下街の、怪しげな扉の前に佇んでいた。見知らぬ男があなたに声をかける。案内人と名乗った男はあなたを客と呼び、こう言った。ここはアニマ地下飲食街、美味しいものが食べられる場所だよ、とーーー。

プレイヤーはアニマ地下飲食街に迷い込んだ客となり、三つの「ニンゲン用の店」の中から一つを選んで、食事をすることになる。案内人の男や店の主人達は皆、獣の耳や尾を持っていて、どうやら人ではないらしい。「美味しいものが食べられる」という言葉の真意とは?果たしてあなたは無事に飲食街を出ることができるのか・・・。ゲーム製作者はイラストレーターの鳥野いとせ氏で、各店で提供される食事のイラストはご自身で描かれたものらしく、どれもとても美味しそうだ。食事を楽しむ合間に店主と会話ができるのだが、選択によってエンディングが分岐する。様々なエンディングを見ることで、登場人物達がそれぞれ抱えている事情や、物語の全貌が把握できるようになっている。いわゆるループもので、プレイヤーはエンディングを回収しつつ、繰り返しプレイして真相に辿り着くのだが、なぜプレイヤーがループして、何度も初めからやり直すのかについて、ストーリー内で裏付けがされている。ネタバレになるため詳しくは明かせないが、その部分にこそ、この物語の愛と恐怖がある。あなたのための、魂を削る献身。応えるには、どうすればいいのだろう。自らを捧げるほかに、いったいどうすれば?

こちらのゲーム『アニマ地下飲食街』は、ノベルゲームコレクションというサイトで無料公開されており、スマホやPCで気軽にプレイすることができる。無料とは思えないほど凝っていて、優しい気持ちになれる作品なので、ぜひ遊んでみてください。

https://novelgame.jp/games/show/10146